男の子の初節句は五月人形や兜を飾る家もあれば、何もしないという家庭もあります。
今回は、節句の五月人形や兜はいる・要らない派それぞれの意見や、節句の兜に関する基礎知識などをまとめました。
男の子の初節句は何もしないという家庭もある
節句は邪気を払い無病息災を願う行事です。
男の赤ちゃんが生まれ始めて迎える端午の節句は「初節句」と呼ばれ、特別なお祝い事として昔から大切にされてきました。
しかし最近では、初節句に何もしないという家庭も増えてきています。
今回は男の子の初節句について詳しくお伝えしていきます。
そもそも男の子の初節句で何をする?
男の子の節句に飾る五月人形には大きくわけて「兜」「甲冑」「人形」の3種類があります。
今回はその中でも一番人気のある「兜」にフォーカスしてみてきましょう。
男の子の初節句ですることは、主に下の4つです。
- 兜を飾る
- こいのぼりを飾る
- 菖蒲湯につかる
- 家族が集まってご馳走を食べる
これは絶対というわけではなく、その地方の風習により違ってくるので参考までにしてくださいね。
それぞれ順番にみていきましょう。
①五月人形や兜を飾る
兜は大事な頭を守ってくれるもの。
病気や事故から身体を守り、健やかな成長を願って飾られます。
昔、武士の時代には梅雨の前に武具に風をとおし手入れをするために鎧や兜を飾る習慣がありました。
端午の節句はこの習慣に由来しているものといわれています(※)。
※所説あります。
②こいのぼりを飾る
鯉は非常に生命力が強いことから、どんな環境にあっても子どもが立派に育つようにという願いが鯉のぼりに込められているといわれています。
鯉のぼりを飾る習慣がはじまった江戸時代には、黒の真鯉が一匹でした。
時代が下るにつれ、鯉の数が増えるとともにカラフルな鯉のぼりへと変わっていきました。
現在では平穏な家族の象徴でもあります。
③菖蒲湯につかる
菖蒲の葉をお風呂に入れてつかる「菖蒲湯」。
香りが強い菖蒲は昔から邪気を払うとされてきました。
毎年5月5日が近づくとスーパーや花屋さんに菖蒲が並びます。
端午の節句には一年間の無病息災を願って菖蒲湯に入るのが習わし、という家庭も多いかもしれませんね。
④親族が集まってご馳走を食べる
親族で集まりご馳走を食べて子どもの成長をお祝いします。
現代ではお寿司や子どもの好きなものを食べに家族で外食するという方も多いようです。
ほかにも「節句の食」に関してどんな風習があるかみてみましょう。
子孫繁栄を願って食べる柏餅
この時期に出回るお菓子が「柏餅」です。
柏の葉は新芽が出るまで古い葉が落ちないため子孫繁栄の象徴とされます。
子どもの日といったら柏餅を思い浮かべる方も多いかもしれません。
柏餅を食べる風習は江戸時代頃から広まったようですが、関西では柏の木があまり生育していません。
そのため関東を中心に東日本に多く見られる風習だといわれています。
立派な大人になることを願って食べる粽(ちまき)
関西では端午の節句に粽を食べる風習があります。
もともとは中国の故事の由来するもので、都があった関西・近畿地方を中心に粽を食べる風習が広がりました。
粽には邪気を払い立派な大人になるようにとの願いが込められています。
男の子の初節句はいつ?
男の赤ちゃんが生まれて初めて迎える5月5日のことを初節句と呼んでいます。
初節句は赤ちゃんが丈夫にたくましい男性に育つようにと願う大切な行事です。
しかし、早生まれの赤ちゃんの場合は初節句を翌年に持ち越すこともあります。
初節句を翌年にする理由を下記で説明します。
お食い初めと時期が被る
生後100日目に行うお食い初め。
月齢でいうと生まれてから3か月ちょっと経った頃です。
1~2月に生まれた赤ちゃんの場合、初節句とお食い初めの時期が被ってしまい準備する時間がないという理由で翌年に持ち越す場合があります。
ママの準備が大変
早生まれの赤ちゃんは、初節句には生後2~4か月。
特に初めての子の場合は、ママも赤ちゃんとの生活にまだ慣れていない時期です。
そんなときに初節句の準備をするのは大変。
ママにかかる負担を考慮して初節句は翌年に持ち越す場合があります。
ママや赤ちゃんの体調
出産でダメージを受けたママの身体はまだまだ休息が必要な時期です。
この時期に無理をすると体調不良が長引く要因にもなります。
赤ちゃんにも負担をかけるということで初節句を翌年に持ち越す場合があります。
初節句の時期ではなくお祝いの心が大切
早生まれの赤ちゃんを持つママは「初節句なのに翌年に延ばしていいのだろうか」と悩むかもしれません。
しかし初節句よりもママと赤ちゃんの身体の方が大切なのは言うまでもありません。
大事なのは初節句の時期ではなく、赤ちゃんの誕生を祝い、健康に育つことを願う心であることを忘れないようにしましょう。
初節句の五月人形や兜はいる?いらない?
昔は男の子が生まれたらほとんどの家庭で五月人形や兜などの飾りを購入していました。
しかし近年では、買わないというご家庭も増えているようです。
購入はその家庭の価値観によって判断されています。
五月人形や兜を買う意味や兜必要派と不要派、それぞれの意見をご紹介します。
初節句の兜を買う意味
男の子を病気や厄歳から守ってくれるといわれる兜。
初節句の兜を買う意味として、下記の3つがあげられます。
- 初節句の記念写真でお祝いの場が華やかになる
- 祖父母の思いを形にできる
- 思い出づくり
初節句のお祝いの場が華やかになる
ママやパパにとって赤ちゃんの「初めて」は大切にしたいもの。
記念写真は兜と一緒に写ることで「初節句のお祝い」ということがわかりますよ。
兜があるだけでお祝いの場がぱっと華やぎます。
祖父母の思いを形にできる
おじいちゃん、おばあちゃんから「買ってあげる」と申し出があった場合、「兜」という形で祖父母からのお祝いの心を形にできます。
将来子どもに「おじいちゃんとおばあちゃんが、あなたの誕生を喜んで買ってくれたんだよ」と話してあげれば、祖父母からの愛情も目に見える形で示してあげることができます。
思い出づくり
どの兜を買うか悩んだこと、お店をみてまわったこと、この兜に決めた理由など、兜購入にまつわるすべてが思い出となります。
成長した子どもに、思い出話を話してあげることで、自分の兜に愛着も持てるでしょう。
初節句の五月人形や兜はいる派の主張
ここでは「初節句の五月人形や兜は必要!」という方の主張をみていきましょう。
内容は下記の3つです。
- 子ども時代の思い出となる
- 家族からの愛情を感じられる
- 日本の伝統に触れられる
子ども時代の思い出となる
毎年決まった季節に飾る兜。
季節を感じられるとともに、毎年兜を囲んでこどもの日をお祝いをしてもらったことは子ども時代の大切な思い出になりますよ。
家族からの愛情を感じられる
五月人形や兜を買うにはお金もかかる上、飾ったりお祝いを用意したりするのは手間が要ります。
親が自分のために兜を用意して毎年飾ってお祝いしてくれたことは、大人になったときに「愛されて大事に育ててもらった」という実感につながります。
日本の伝統に触れられる
節句などの行事は家庭の中で日本の伝統文化に触れられる良い機会です。
小さなころから五月人形や兜を飾れば、五月人形や兜を飾る意味や兜という伝統工芸について知ることもできます。
初節句の五月人形や兜はいらない派の主張
「五月人形や兜は必要ない!」と思う方の主な理由は下記のとおりです。
- 置き場所がない
- 出し入れが面倒
- 値段が高い
- 伝統に興味がない
置き場所がない
収納スペースが広くないお家に住んでいる場合、置き場所に困るという悩みが出てきます。
1年にわずかな期間しか飾らない兜に収納スペースをとるくらいなら五月人形や兜は必要ない、とい家庭も多くあります。
出し入れが面倒
時期になったら兜を出して、子どもの日が終わったらしまうという一連の動作が面倒くさいという人もいます。
購入したけど飾るのが面倒になって、出さなくなったという家庭も。
値段が高い
節句人形メーカーの「人形の久月」のホームページをみると、兜なら安いものでも80,000円ほどのお値段です。
高いものだと500,000円近くするものも。
五月人形や兜の値段が高いため購入を躊躇してしまう方もいます。
伝統に興味がない
そもそも行事などの日本文化や伝統に興味がないという方も。
節句には五月人形や兜を飾るなどの特別なことをしなくても、みんなで楽しく食事ができれば十分と考える方も最近では増えてきているようです。
初節句の五月人形や兜はお下がりでも良いの?
子どもの五月人形や兜を親戚やパパのものを譲り受けてもいいのか気になりますね。
実は、五月人形や兜のお下がりはタブーとされています。
以下でその理由を説明します。
お下がりの五月人形や兜は「厄も引き継ぐ」
お下がりの五月人形や兜は本来の持ち主の厄も引き継ぐと言われています。
例えば兜は持ち主の厄を払い、身代わりとなり願いを背負うものです。
そのため、兜は基本的に一人につき一つ。
兄弟がいる場合は子どもごとに購入しましょう。
パパのものを使ってもいいの?
パパの五月人形や兜はパパ自身のもの。
子どもの五月人形や兜は別に用意しましょう。
ただし、パパと子どもの五月人形や兜を一緒に飾ることはよいとされています。
親子で一緒に飾ることができれば素敵ですね。
初節句の五月人形や兜は誰が買うもの?
「初節句の五月人形や兜は誰が買うの?しきたりはある?」と疑問に思うかもしれませんが、現在では明確な決まりはありません。
しかし風習は地域や家族の考え方によって違いがありますので、以下を参考にしつつ自分たちのベストを見つけましょう。
関東の風習では誰が買う?
夫の実家で五月人形や兜の用意をする風習が残る地域が多いようです。
男児が生まれたらその父親の実家から五月人形や兜がおくられる風習は、東日本を中心に残っているようです。
女児が生まれた場合は、女性側の実家でひな人形が贈る風習も残っています。
関東では男が生まれたら夫、女が生まれたら妻の実家が用意するというのはわかりやすい習わしです。
関西の風習では誰が買う?
一方、関西では子どもの性別にかかわらず、母親の実家が用意することが多いようです。
その理由としては下記があります(※)。
※所説あります
- 嫁入り道具の一つ
- 娘や孫に会うための口実
嫁入り道具の一つ
昔は結婚する際、男性側の実家が結納金を女性側に用意することが一般的でした。
女性側はそのお金を嫁入り道具の購入にあてられました。
嫁入り道具の中には、これから誕生する赤ちゃんの兜やひな人形なども含まれていたといいます。
お祝いに必要な道具を女性側の実家が揃えてあげることが習わしでした。
娘や孫に会うための口実
昔は現在よりも「家」が重んじられた時代。
結婚してしまえば、嫁ぎ先の娘や孫には頻繁に会うことはできませんでした。
兜を購入して贈り物を届けに行くことが娘や孫に会うための口実として使われていたという説もあります。
九州の風習では誰が買う?
九州では関西と同様、母側の実家が購入するというのが多いようです。
ただし、県や地方によって異なりますので家族に相談してみるとよいでしょう。
自分たちで買ってもOK
現在では五月人形や兜を祖父母から買ってもらわずに、子どもの両親である自分たちで買う家庭も増えています。
子どもの健やかな成長を願って購入する兜。
その気持ちがあれば誰が買っても子どもにとって大切な兜となります。
誰が買うかにあまりこだわりすぎないようにしましょう。
初節句の兜の相場は?
兜は安いものなら数万円、高いもので100万円以上するものもあります。
大阪の株式会社増村人形店によれば、初節句の兜飾りの相場は5~15万円とのこと。
だいたいこのあたりの価格帯で選ぶご家庭が多いようです。
兜を選ぶときはあらかじめ予算を決めてからデザインやサイズを絞っていくことをおすすめします。
初節句の五月人形や兜はいつからいつまで飾る?
節句用の五月人形や兜は、春分の日が終わってから飾り付けます。
一般的には4月の中旬~5月5日まで飾ります。
ただし、初節句の場合は早めに飾り3月下旬から長く楽しむのもよいでしょう。
節句人形の一夜飾りは厳禁とされているので気をつけましょう。
最低でも1~2週間前までに飾り、梅雨の時期の前、遅くても5月中旬にはしまうようにしましょう。
3月下旬~5月中旬まで
初節句の兜はコンパクトでおしゃれなものもある
兜のサイズは実際に頭にかぶれるような大きなものだけでなく、机の上にちょこんと飾れるようなコンパクトなサイズのものもあります。
最近ではインテリアになじむようなおしゃれなデザインの兜も登場していますよ。
どんな兜があるのか、お悩み別に下記で紹介します。
サイズが気になる方!
保管や収納場所が気になる方におすすめなのではコンパクトな兜。
小さいものでは手のひらにおさまるサイズのものもあります。
玄関の飾りとして、お部屋の棚の上に飾るのも素敵ですね。
お値段も10,000円以内とコンパクト。
兜のサイズにはかなり幅があるので、どこに飾るかを考えて選んでみましょう。
収納やお手入れが気になる方!
最近では飾るための台座が収納ボックスとなっているタイプのものもあります。
出し入れも簡単でストレスなく行えるためおすすめですよ。
お手入れが気になる方はガラスやアクリルケース入りのものはいかがでしょうか。
ただし、ケース分がかさ張ってしまうためサイズを確認してから購入しましょう。
インテリアになじむか心配な方!
現在はモダンなデザインの兜がたくさん販売されています。
たとえば、「白粋」というメーカーで出している真っ白な兜。
兜らしい華やかで勇壮な印象が抑えられ、洋風のインテリアにもなじむデザインです。
「絢爛豪華な兜はちょっと……」と思っている方は色味を抑えたモダンなデザインを探してみましょう。
また、最近ではディズニーデザインの兜も人気がありますよ。
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