モンテッソーリの教具として有名な「ピンクタワー」。
今回は、ピンクタワーのねらいや提示方法、代用品や手作りピンクタワーの注意点について詳しく解説していきます。
\ モンテッソーリの考えを採用 /
モンテッソーリ教具のピンクタワーとは?

幼児教育で使われるピンクの積み木でできた「ピンクタワー」をご存じでしょうか?
ピンクタワーは、モンテッソーリ教育の理念を取り入れた教具です。

ピンク色に塗られている10個の木製の立方体で、10個の立体の1辺は1cmから10cmまで1cmずつ変化しています。
縦・横・高さの3つが変化する3次元の教具で、この10個の立体を積み上げて塔を作ることが目的です。
この記事では、ご家庭でも簡単にモンテッソーリ教育を取り入れられるピンクタワーについて、ご紹介します。
ピンクタワーにはどんな効果がある?ねらいとは

ピンクタワーは、抽象的概念の獲得、感覚の洗練、ものを考える方法の獲得を目的とした「感覚教育」をサポートする教具と言われています。
ピンクタワーを使うことで得られる具体的な効果にはどのようなものがあるのでしょうか。
例えば学研で販売されているピンクタワーは、学びのねらいが以下のように設定されています。
教具を目で見て、持って、3次元の大きさの変化をとらえる。大きい、小さいといった数値以前の量の経験をする。(算数教育の十進法の理解につながる。)
出典:学研の保育用品
以下では、このねらいについてもう少し詳しく解説していきましょう。
大きさの概念や感覚を学べる
大小様々な立方体を目で見たり、つまんだりすることにより、「大きい」「小さい」の概念を理解できるようになります。
また、小さな立方体は2本の指でつまめるけれど、大きな立方体は5本すべての指を使わなければつまめないなどの経験を通じて、大きさの違いを体感することができます。
観察力や思考力が鍛えられる
大きさの異なる立方体を積み上げるためには、それぞれの大きさや積む順番を考えて、積み上げる必要があります。
そのため、10個の立方体を使ってタワーを作る作業を通して、1つ1つの立方体をよく観察し、どのような順番にすれば立方体を積み重ねることができるのかを考える力が身につくのです。
算数教育の下準備ができる
ピンクタワーは1cm刻みの立方体10個からなる教具のため、センチメートルの感覚や十進法を遊びながら取り入れることができます。
小さな頃から長さや数といった概念・感覚に慣れ親しむことで、算数教育にスムーズに取り組めるようになりますよ。
ピンクタワーは何歳から使う?

ピンクタワーの対象年齢は2歳半頃からとされていますが、子どもの興味関心や発達の程度に個人差もあるため、明確な年齢は決められていません。
一般的には、次の事柄をクリアしてからピンクタワーを使い始めると効果があると言われています。
- 親指、人差し指、中指で立方体をつまめるようになる
- 同じ感覚教育の教具「円柱さし」に十分慣れ親しむ
ただし、最小の立方体は1cm四方ととても小さいため、子どもが小さなうちは口に入れてしまわないよう、注意しましょう。
ピンクタワーを選ぶ際のポイント・注意点

ピンクタワーを探してみると、色や大きさ、個数が異なる商品が多数販売されています。
しかし、ピンク1色で塗られていることや各辺の長さ、個数には、それぞれ意味があり、どれか1つでも欠けていると、その効果が薄れてしまうため、注意が必要です。
ここでは、ピンクタワーの外観と数の意味とピンクタワーを選ぶ際のポイントについてご紹介します。
ピンクタワーの外観と数の意味
ピンクタワーなどの感覚教育に使われる教具は、子どもの五感を刺激するものとして、緻密な計算に基づいて作られています。
ピンクタワーがピンク1色で塗られているのは、大きさに集中できるように、立方体の数が10個であるのは、十進法の感覚を身につけるためとされています。
また、1cm刻みで変化する形状からは、大きさや体積、重さの変化を感じることができます。
ピンクタワー選びのポイント
前述のとおり、ピンクタワーの外観と数にはそれぞれ意味があるため、次の条件を満たしたものを選ぶといいでしょう。
- 立方体の色が単色である
- 辺の長さが1cm刻みとなっている
- 立方体が10個のセットになっている
この条件が揃ったピンクタワーを選ぶと、ピンクタワーの次に使うとよいとされている教具「茶色の階段」と一緒に使うこともできるため、長く活用できます。
ピンクタワーの提示の仕方&手順

モンテッソーリ教育において、子どもにピンクタワーに取り組んでもらうためには、基本となる手順があります。
まずは大人がピンクタワーを積み上げたり、並べたりするところを子どもに見せ(提示)たりした後に、子どもにやってみるよう促します。
その際のピンクタワーの使い方について、難易度順にご紹介します。
難易度1:大きいものから順に垂直に積み上げる
始める前に10個の立方体をバラバラに置き、大きなものから順に、中心が中央にくるように積み上げます。
立方体を選ぶ際は、1つずつ選んで指でつまみ上げ、残りの立方体の上に重ねて大きさの違いを確認していきます。
最後まで立方体を積み上げたら、1つずつ下ろしていきます。
難易度2:大きいものから順に1つの角に寄せて積み上げる
積み上げ方は難易度1と同じ手順で進めますが、難易度2のステップでは、立方体を1つの角に寄せて垂直に積み上げます。
立方体の2つの辺がぴったり揃った状態となります。
難易度3:水平に並べる
立方体を大きいものから順に水平に並べます。
タワーが横に倒れた形になります。
難易度4:抜き取った立方体を当ててもらう
難易度1の方法で10個の立方体を垂直に積み上げ、1つの立方体を抜き取ります。
抜き取った立方体を子どもに見せ、どこから抜き取ったものかを当ててもらいます。
これに慣れてきたら、抜き取った立方体を見せずに当ててもらうようにし、難易度を上げることもできます。
ピンクタワーの代用品はある?

ピンクタワーは子どもの様々な能力を引き出せる魅力的な教具ですが、高価な上、サイズも大きいため、家庭用としての購入は難しいと感じる方もいるのではないでしょうか。
そのような方のために、ピンクタワーと同じような効果のあるおもちゃをご紹介します。
高価なピンクタワーを最初から購入するのは不安という方は、代用品から試してみるのもいいでしょう。
コップ重ねは代用品に使える?
コップ重ねは、少しずつ大きさの異なるコップを積み重ねたり、並べたりといった使い方ができるおもちゃです。
そのため、ピンクタワーのように大小の概念が身につく他、手先が器用になるというメリットもあります。
ただし、色が単色ではないこと、大きさが1cm刻みでないこのなど、大きな違いがあるため、ピンクタワーと同等の効果を得ることは難しいでしょう。
コップ重ねがピンクタワーよりも優れている点は?
ピンクタワーでしか学べないことがある一方で、コップ重ねだからこその良さもあります。
コップかさねは生後6ヶ月頃から使えることや、色の違いを見分けることで名前を覚えるという効果があります。
また、入れ子式のものを選べば、重ねて収納できるため、置き場所にも困りません。
ピンクタワーの代用品として紹介はしましたが、コップ重ねはある意味ピンクタワーよりも身近で学びの多いおもちゃです。
そのため、モンテッソーリ教育にこだわらければこちらの知育玩具もおすすめですよ。
ただし、モンテッソーリ教育として本格的に取り組みたい方は、やはりピンクタワーを使用するべきと言えるでしょう。

ピンクタワーは100均グッズで手作り可能?

モンテッソーリ教具は様々な種類があり、その効果も異なるため、いろいろと揃えたくなりますが、すべてを購入していると家計への負担も大きくなります。
そのため、100均グッズ等で手作りできないかと考える方もいるかと思いますが、モンテッソーリ教具の中でもピンクタワーは、購入した方がよいという意見が多い教具の1つです。
その理由は2つあります。
ピンクタワーは感覚教育の教具である
ピンクタワーなどの感覚教育で使われる教具は、子どもの視覚と感覚に訴えるものであるため、モンテッソーリ教育では、その精度や見た目の美しさを重要視しています。
そのため、それらの条件を満たす教具を手作りするのは難しいという理由から、購入した方がよいと考える方が多いのです。
木材の加工が必要となる
ピンクタワーは木材でできた積み木のような教具です。
そのため、ピンクタワーを手作りするためには木材を加工しなければならないことも、家庭で手作りされる方が少ない理由の1つとなっています。
日常生活の練習で使われる教具など、ご家庭にあるもので代用できる教具もありますので、教具の特徴に合わせて、手作りするものと購入するものを区別するといいでしょう。
モンテッソーリ教育では教具をうまく活用しよう
モンテッソーリ教育には様々な教具がありますが、効果があるからといってやみくもに取り入れても、せっかくの効果も半減してしまいます。
反対に、子どもの興味関心や発達段階に合わせて、必要なものを選択し、遊びの中にうまく取り入れられれば、子どもの能力を最大限に引き出すことができます。
モンテッソーリ教具を上手に活用し、楽しく遊びながら学ぶ機会を作れるといいですね。
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