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最初の一歩は青年海外協力隊員のアイデア

ラオスは、他の東南アジアの国々と比較しても、お母さんと子どもの死亡率は非常に高くなっています。ユニセフの2010年の報告によると、乳児死亡率は48(出生1,000対)、妊産婦死亡率は660(出生10万対)でした。日本と比較すると、乳児死亡率は16倍、妊産婦死亡率は何と110倍になります。ラオスでは、母子の死亡率を減らすための母子保健サービスの充実は、最も重要な国家的目標のひとつになっています。
この母子保健サービスを改善するために、日本の母子手帳のアイデアが応用できるのではないか。ラオスの農村に派遣された青年海外協力隊員の努力が実り、1995年にラオス語で書かれた試作版の母子手帳が生まれました。

 

子どもの発達の様子が、イラストでわかりやすく書かれている。
日本のロータリークラブも協力した

協力隊員が作った母子手帳は、ラオスの母子保健関係者の注目を集めました。それまで、ラオスでは、家庭における母子の健康記録として、健康記録帳、妊婦カード、予防接種カード、子どもの発達と予防接種のカードなど、いろんな種類のカードが配布されていました。ところが、妊娠中のケアの注意や離乳食の作り方といった実用的な情報は、それらのカードには含まれていなかったのです。
2004年に、日本のロータリークラブの支援を受け、2万冊の母子手帳が印刷され、パイロット地域(3州)での配布が始まりました。母子手帳を受け取った母親たちの評判は非常に高いものがありました。しかし、予算不足のため保健医療関係者への十分な研修が行われなかったこと、病院だけでなく遠隔地の保健センターでの普及がむつかしいことなど、多くの困難な課題もありました。


ラオス母子手帳の体重表
体重増加曲線はカラーで見やすい(男児用)。

ラオス母子手帳の体重表(女児用)。

 

最新版で全国展開をめざす

2009年になって、保健省とWHO(世界保健機関)が協力して、最新版の母子手帳が製作されました。母子手帳の内容は、以前のものと比較して、すっきりとシンプルなものになっています。読み書きのできない母親や少数民族の存在に配慮して、できる限り文字を少なくして、これだけは絶対に必要だという情報だけに絞り込んだそうです。ラオス保健省が中心になって、国連機関や各国からの援助を受けながら、ラオス版の母子手帳を全国に広げていく予定です。
日本の若者のアイデアがきっかけとなったラオスの母子手帳が、全国に広がることを期待したいです。

 

執筆:NPO法人HANDS
代表理事 中村安秀