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アフリカのHIV/エイズ対策

2008年の世界のHIV/エイズ感染者数は3千万人以上、その3分の2がアフリカに住んでいます。ビクトリア湖に面したニャンザ州では、成人の約7人の1人がHIV/エイズに感染しており、エイズのために多くの命が失われています。しかし、世界エイズ·結核·マラリア対策基金(世界基金)などの努力により、アフリカにおいても治療が進んできていることも事実です。とくに妊娠中のお母さんにきちんとした治療をすれば、生まれてくる子どもがHIVに感染することをほぼ防げるということもわかってきました。
そのためには、妊娠中から出産、そして、生まれた子どものケアを根気強く継続していくことが必要となります。


ケニアの子どもたち 

日本での留学時に母子手帳を知った

HIV/エイズ感染者の多いケニア・ニャンザ州で、HIV陽性の母親から生まれる子どもの予防対策をしていたのが、ミルドレッドさん※。彼女は、日本に留学していたときに学んだ母子手帳のアイデアを、母子感染予防に使いたいと考えました。
たとえば、妊婦は家の近くの保健センターで助産師さんの検診を受け、出産は町の病院で行います。生まれた子どもが病気になったときは、診療所の医師の診察を受けます。このように、妊婦と乳児は短期間のうちに、いろんな施設を受診し、さまざまな医師や助産師や看護師から必要な治療やケアを受けています。母子手帳を導入することによって、HIV陽性の母親の検診、出産時の記録、子どもの成長や予防接種の記録といった、さまざまな施設での医療や検診結果が、1冊の母子手帳に記録できます。米国のプロジェクト関係者やケニア保健省を巻き込み、2007年8月にケニアで初めての母子手帳が完成しました。


ケニア母子手帳の体重表
出産から5歳までの体重が記録される(男児用)。


ケニア母子手帳の身長表
出産から5歳までの身長が記録される(女児用)。
アフリカ母子手帳ワークショップ

2010年3月に、ケニアの首都ナイロビで母子手帳ワークショップが開かれました。ケニア、ウガンダ、ルワンダ、タンザニアなど近隣の国々も参加しました。ともすればバラバラに行われてきた、エイズ対策、予防接種、妊産婦ケア、新生児ケアなどをつなぐ役割をもち、医療と保健のシステムを改善する手段として、母子手帳はすばらしいという声が聞かれました。
このように、アフリカでも母子手帳に関心をもち、母と子どもの健康に取り組む人びとが増えてきています。

 


※ミルドレッドさん(Dr. Mildred Mudany)
東京女子医科大学に2年間、留学した経験をもつ。現在は、米国政府機関のプロジェクトに勤務。いつも明るい笑顔の小児科医。

執筆:NPO法人HANDS
代表理事 中村安秀