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20歳までの成長を見守る母子手帳

茨城県常陸大宮市は、2004年に5つの町が合併してできた新しい市です。「母子ともにすこやかに育つまちづくり」を目標としています。母から娘へと伝えられていた子育ての知恵や文化がなくなりつつあるなかで、お母さんにもお父さんにも、子育てしながら親として育ってもらいたい。そんな素朴な思いが、「親子健康手帳」という形で結実しました。
常陸大宮市の母子手帳の特徴は、子どもが20歳になるまで使えること。20歳までの成長記録のページがあり、身長・体重成長曲線は18歳まで記入できるようになっています。

小学生から18歳までの身長・体重成長曲線。

日本初、インデックスが付いた母子手帳

母子保健に関わる担当課長、保健師、管理栄養士、保育士、幼稚園教諭、養護教諭が集まり、親子健康手帳作成のための連絡会を立ち上げました。愛知県小牧市の母子手帳を参考にしながら、常陸大宮市独自の工夫がされています。親から子どもへのメッセージを書き込めるようにしたり、お父さんの参加を前提に父親へのメッセージを盛り込んだりしました。
全部で112ページと、ふつうの母子手帳よりも厚くなりました。使いやすいようにと、妊娠経過、乳児期、幼児期など項目ごとにインデックスを付けました。いまでは、この常陸大宮市の母子手帳を参考にして、沖縄でも同じような母子手帳が作られています。

妊娠経過のページ。右側にインデックスがあり、使いやすいように工夫されています。

海外の母子保健関係者に大好評!

2008年12月に、第6回母子手帳国際会議が東京で開催され、世界16カ国から300名以上の母子保健専門家や実務者が集まりました。そのフィールド視察の舞台は常陸大宮市。海外からのゲストは、常陸大宮済生会病院や総合保健福祉センター「かがやき」を視察し、乳幼児健診で母子手帳をもった親子と歓談しました。自分の国では保健省の高官や大学教授ですが、常陸大宮市で子どもたちと接するときは、童心に帰ってみんな笑顔があふれていました。
日本の母子手帳は、保健師、助産師、産婦人科医、小児科医、歯科医などいろんな職種の人が記入し、病院や保健センターなどすべての医療機関で使うことができ、教育レベルが高いのでお父さんもお母さんも読むことができる。そして、普及率はほぼ100パーセント。こんなすばらしいシステムは米国にも英国にもない、と海外からの参加者たちが感動していました。海外のゲストからの絶賛に、私たちも誇らしい気持ちになりました。

フィールド訪問時の様子。

執筆:NPO法人HANDS
代表理事 中村安秀