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日本の母子手帳に感動した留学生

文部科学省の国費留学生として大阪大学の博士課程に入学したシャフィさん※は、日本の母子手帳のすばらしさに感動して、自分の研究テーマを母子手帳に変更しました。麻酔科医だったシャフィさんは、病院の患者さんを治療するだけでなく、病気にならないことをめざす予防医学を勉強するために留学を希望しました。日本に留学している彼と、バングラデシュにいる仲間が共同して、2002年にベンガル語で書かれた母子手帳の試作版ができました。ダッカ市内の母子保健センター病院で使ってみると、母親の知識や妊娠中の検診の受診率が向上し、母子手帳の成果をみごとに実証することができました。

 

農村の保健センターで乳幼児検診を終え、母子手帳をもつお母さん。  

病院から地域へと広がる母子手帳

最初のバングラデシュの母子手帳は、みどり色の表紙。実は、バングラデシュの国旗は緑地に赤い丸。ちょうど、日本の国旗の白地を緑色に染めた配色になっています。ですから、ナショナル・カラーを母子手帳の色にしたのですね。
妊娠中の注意や栄養指導のイラストは、バングラデシュで使われているポスターやパンフレットを借用しました。すでに看護師や助産師が使っている素材をもとにしたので、新しいものを作るより、なじみがあって使いやすいという評判でした。
首都のダッカの病院で使い始めたバングラデシュの試作版の評判は上々。産婦人科医のお医者さんグループが改良版を作り、自分たちのクリニックで使い始めました。そして、シャフィさんは、農村部の地方病院や家族福祉センター(日本の保健所のような機関)で母子手帳の普及活動を行っています。

緑色をメインカラーにした母子手帳は、世界でも珍しい。 

第7回母子手帳国際会議

2010年12月には、ダッカで第7回母子手帳国際会議が開かれます。バングラデシュ保健省、ダッカ大学、ブラック(バングラデシュ最大のNGO)などが協働して、バングラデシュ版の母子手帳の普及に努めようとしています。世界各国から、100名以上の研究者、実務者、NGOなどが参集する予定。日本からは、NPO法人HANDS、大阪大学、国際協力機構(JICA)なども協力しています。
この国際会議が契機となって、バングラデシュの母子手帳が一層発展することを期待しています。

妊婦のそばには、いつも父親が寄り添っています。 

※シャフィ・ブイヨンさん
バングラデシュ人医師。母子保健センター病院(MCHTI)に勤務後、日本に留学。現在、カナダのトロントでエイズ対策に従事している。

執筆:NPO法人HANDS
代表理事 中村安秀