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日本の母子手帳がヒントになった

アメリカ合衆国のユタ州の州都はソルトレイクシティ。2002年に冬季オリンピックを開催したことや、人口の約6割がモルモン教徒ということでも知られています。
1984年にアメリカ合衆国で開催された国際シンポジウムで紹介された日本の母子手帳にヒントを得て、1990年にユタ州で母子手帳が作られました。それまでは、妊産婦のためのパンフレットや子どもの予防接種カードなどはありましたが、母子手帳はなかったそうです。「母親の妊娠中記録と子どもの成長記録が1冊にまとめられた日本の母子手帳が、私たちにすばらしい着想を与えてくれた」と母子手帳の開発に関わったマクドナルドさん※は言います。

妊娠中の記録は、医療機関で書き込んでもらいます。
親からの贈りもの

ユタ州の母子手帳の名前は、母子手帳ではなくて、キープセイク(Keepsake)。親から子どもへの贈りものという意味です。医療機関を受診した健診記録が中心ですが、妊娠中からの子育て日記のようです。やがて子どもが成長したときに、親からの贈りものとして受け取ってもらいたい、という思いが込められています。
利用者に対するインタビュー調査や、Eメールでの質問や葉書によるリクエストなど、利用者の意見を広く集めるように心がけてきました。それらの利用者の意見をもとに、改訂が行われています。2007年には、3万5千冊を妊婦に配布し、79%の妊婦が妊娠13週までに保健医療機関を訪問するようになったそうです。

子どもの検診のページでは、親に対する質問項目も書かれています。

アルバムのように重い母子手帳

ユタ州の母子手帳は、世界で最も重い母子手帳です。初めて見たときは、そのミニ・アルバムのような重厚さにびっくりしました。マクドナルドさんは、「日本の母子手帳はコンパクトだけれど、ユタ州の家は広いので、書棚に立てられる厚みが必要なんだ」と笑いながら説明してくれました。子どもの健診や病院に行くときは自家用車を使うので、少しくらい重くても大丈夫という事情もあるようです。
母子手帳ひとつをとってみても、お母さんを取り巻く子育て環境が反映されていますね。

子どもが最初にできた日づけをチェック。
初めて笑った日、ひとりで座れた日、言葉を話した日と何を話したか、パパ・ママと呼んだ日、髪を切った日・・・などなど。

家族ページ。両親や兄弟の名前や誕生日に加え、ひいおじいさんとひいおばあさんの名前まで記入できる家系図欄もある。

 

※Stephen P. McDonald
元ユタ州保健局勤務
ユタ州母子手帳「Health Keepsake」の編集とデザインに関わる。

執筆:NPO法人HANDS
代表理事 中村安秀