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行政の垣根を越えて、新しい母子手帳ができた

ふつうの母子手帳は学校に入るまでしか記入できませんが、中学校まで使える母子手帳を作ったのは、全国で愛知県小牧市が最初。「単に記録するだけの手帳ではなく、親子の力となり、心を育てることの大切さを伝えられる手帳を作りたい」という思いが、行政の垣根を越えることを可能にしました。母子の健康に関係している、保健師、養護教諭、保育士などが中心となり、1999年6月に中学生までの記録ができる画期的な母子手帳が作られました。学校に入ったら、親子で身長や体重を記入することもできます。子どもにとっては、自分がどのように生まれ育ってきたのかを知り、自分の生を考える教材にもなります。

保健師さんが手渡ししてくれる

子どもを生もうと決意した妊婦さんが、最初に行政からもらうものが母子手帳。小牧市では、母子手帳の交付は保健師さんとの出会いのとき。ロビーのベンチに並んですわり、ひとりひとりの妊婦さんとゆっくり話しながら、保健師さんが母子手帳を手渡ししています。初めての子育てなら、迷ったり悩んだりするのは当り前。そういうお父さんやお母さんの気持ちに寄り添いながら、地域で安心して出産と子育てができるように・・・母子手帳交付を事務的に処理するのではなく、心の通ったものにしたいという思いが込められています。

母子手帳を交付するときの様子。
保健師さんが気軽に雑談のように、妊婦さんと話しています。

黄色の表紙にピンクの文字で書かれた「親子健康手帳」

小牧市ではお父さんにも使ってもらいたいという思いを込めて、2003年に「親子健康手帳」と名称を変更しました。いまでは多くの自治体が「親子健康手帳」という名前を使っていますが、これも小牧市が日本初です。
子どもの成長の月齢ごとのページに、「赤ちゃんが生まれるまで」「母乳は赤ちゃんの宝物」といった読み物があります。また、「お父さん・お母さんからのメッセージ」を書き込むスペースには、パパやママのつぶやきや楽しいプリクラが貼ってあります。子どもたちが思春期になって自分の母子手帳を見たときに、「自分がかけがえのない、すばらしい存在」であることに自信をもってくれることでしょう。
次世代に伝えたいという強い意志が感じられる、本当にすてきな母子手帳です。

保健師、養護教諭、保育士から親に向けた思いが、やさしく書かれています。
「お父さん・お母さんからのメッセージ」の欄には、プリクラを貼るお母さんもいます。

執筆:NPO法人HANDS
代表理事 中村安秀