母子手帳リレートーク

世界に誇れる日本の母子手帳

ジョイセフ広報 小野 美智代

 

こんにちは。途上国の妊産婦と女性を守るジョイセフ(http://www.joicfp.or.jp/)で広報をしています小野美智代です。娘を出産したことにより、ジョイセフの活動の意義を痛感し、ここで働き続けたい気持ちを更に強固にし、今では毎日、新幹線で自宅のある静岡・三島市から東京・新宿区のオフィスまで通勤しています。ジョイセフは今年、45年前に日本で生まれた国際協力NGOです。国連や国際機関からの要望で、日本の母子保健の経験やノウハウを途上国へ移転するために立ち上がった団体です。

ジョイセフが設立された1960年代、日本は、戦後の混乱からめざましい復興を成し遂げた、「高度経済成長の時代」でした。
この頃の日本で、著しい発展がおこったのは、経済の分野だけではなく、上記グラフをご覧いただくと一目瞭然ですが、戦後、日本では、妊産婦死亡率ならびに、乳幼児死亡率が目を見張るスピードで減少しています。

戦後、ベビーブームと食糧難の時期を迎えた日本は、
国内には、戦争からの復員によって妊婦さんと赤ちゃんがあふれ返り、一方で、望まない妊娠も増えていました。そして、かなりの数の妊婦さんが、安全でない中絶によって命を落としていました。
この状況を受け、母子健康手帳や保健指導の制度がさらに整えられ、家族計画の普及が行われ、妊産婦死亡は右肩下がりに削減されました。
世界中どこの国を見ても、戦後の日本ほどのスピードで妊産婦の死亡率が抑えられた国は、そう多くありません。

(1)現場から見えてくる子どもの現状と課題

(写真キャプション)クリニックに医療従事者のいる村で、ジョイセフが写真のような産前の健診記録カードを作成し、妊婦健診の初回時に配付している。このカードには体重や血圧、妊娠の経過の様子が記録され、次の健診時に必ず持ってくるよう指導している。

 

ジョイセフで働いていると、さまざまな国の母子の現状が見えます。ですが、「日本で母になることがこんなにも恵まれているんだ」と痛感できたのは、私自身の出産の直後でした。

病院の婦人科で妊娠が確認されると、住んでいる町の保健センターで母子健康手帳を受け取りますよね。そこから定期妊婦健診が始まり、妊娠の経過が手帳に記録され、分娩、分娩後の状況、そして産後の経過の様子、生まれた子どもの様子が記録されていきます。母子健康手帳を手にした瞬間から、リスクの予防、異常の早期発見、ケア、この3つがセットでもれなくついてくるような感じ。この日本では当たり前となっている手厚い母子保健のシステムが、整っていない地域が世界にはまだまだ多くあります。

先日、私が出張した東アフリカにあるタンザニアの、シニャンガ州という農村地域では、一度も健診を受けずに自宅で母親や親戚の介助のもとで分娩をする女性が過半数です。妊娠中や分娩中に異常が起こっていても、気づくことさえできずに、亡くなる妊婦、産婦が後を絶ちません。もちろん母子健康手帳なども存在していないですし、手帳だけがあっても読み書きのできない女性が多い地域や、医師や看護師のような保健医療従事者の居ない村や、健診の重要性が理解されていない地域では、何の意味も成しません。

日本のように、母子健康手帳といえば、誰もが知っていて、今や、こうして「よりよく変えよう!」とプロジェクトが立ち上がり動き出したことは誇るべきことですし、まずは感謝したいと思います。日本であれば、全国どこの地域でも、女性が望めば同じクオリティレベルで妊娠・出産ができる母子保健のシステムが整っています。日本で安心して安全に妊娠、出産できる喜びを、ぜひ皆さんに感じていただきたいと思います。

(2)母子手帳と課題解決の関係性と可能性

上述したように、日本の母子保健のすばらしさや、日本の母子保健の実績や経験をベースに、日本が世界の母子のためにも貢献していることも、手帳に綴られているといいですね。ネガティブなニュースの多い日本で出産を迎える妊婦にとって、少しでも日本人として自己肯定感や自信が生まれるようにもポジティブな情報を盛り込んでいただきたいと思います。ことこの母子保健の分野では、今でも妊産婦死亡と乳児死亡の低さは世界トップクラスの日本ですから。世界の母子の比較もできるデータもあるとよいと思います。

2つ目は、母子健康手帳を「親子健康手帳」にリニューアルする案には賛成です。我が家は共働きで、当然子どもの健診や予防接種に父親が同行することがあります。分担して子育てを行う中で、母子健康手帳だけが、母子だけの記録手帳であることに、私自身ものすごく抵抗を感じました。夫からも母子健康手帳を開くことはもちろん、バッグに入れて持ち運ぶことさえ遠慮があったと聴きました。健康手帳が父母両方のものであることが、社会の通念においても当たり前になるといいなと思います。

3つ目は、手帳を持つ親のライフスタイルも千差万別であるので、オプションでライフスタイルや状況に合わせたパターンのページ(冊子)を作り、受給の際に個々に選べると良いかもしれません。例えば、働く母親と専業主婦の母親、初産婦と経産婦、高齢出産と若年出産、などそれぞれのライフスタイルや状況に応じて、特有の傾向や事例、相談窓口なども紹介されている手帳があると心強いかと思います。

(3)子育ておすすめアイテム

私たち夫婦にとって、この本は子どもの気持ちを理解する大切な手がかりとなっています。いちばん頼りにしている1冊です。

夜中に、子どもが発熱し、泣き出して、いくら抱こうがあやそうが、泣き止まない。不安でそのまま救急病院へ連れていく。という経験は、子ども持つ親なら誰もが一度は味わうことと思います。方や、いてもたっても居られず病院へ連れていき、別のもっと深刻なウィルス性の病気に感染させてしまったという話もよく聴きます。今すぐ病院へ行くべきか、それとも様子を見ていた方がいいのか、この本には、緊急性の高い症状と、そうではない症状の見分け方が丁寧に書かれています。

熱、便秘、せき、泣く痛がる、下痢、耳、目、はれ・こぶ・擦り傷、鼻、皮膚、尿、嘔吐の12項目から、様子の見方、緊急を要する状態、原因となる病気の可能性などがわかりやすく書いてあります。一家に一冊、オススメのアイテムです。

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