母子手帳リレートーク

関係者とのコミュニケーションを促進する母子手帳を


NPO法人 Teach For Japan代表理事 松田 悠介  

日本大学文理学部体育学科卒業後、体育科教諭として都内の中学校・高校に勤務。体育を英語で教えるSports Englishカリキュラムを立案。部活指導では都大会の予選ですら勝つ事ができなかった陸上部を全国大会に導く。その後、千葉県市川市教育委員会 教育政策課 分析官を経て、2008年9月、ハーバード教育大学院修士課程(教育リーダーシップ専攻)へ進学し、修士号を取得。卒業後、外資系戦略コンサルティングファームPricewaterhouseCoopersにて人材戦略に従事し退職。 Teach For Japanの創設代表者として現在に至る。World Economic Forum(世界経済フォーラム) Global Shapers Community 選出。



『私たちは、ひとりひとりの子どもの可能性が最大限活かされる社会の実現を目指します。』経済的理由、家庭環境、さまざまな事情で十分な教育を受けられない子どもたちが多くいる地域・学校へ、熱意と志のある有望な若者たちを教師として派遣しております。

また、成長するのは子どもたちだけではなく、指導にあたる教師の成長も考えております。子どもたちのモチベーションを向上させ、学習環境を建て直す過程で、教える側の若者たちも、社会へ出てリーダーとして活躍する上で大切なことを学ぶという学びの好循環を創るべく活動しております。

(1)現場から見える子どもの現状と課題

日本において、子どもの7人に1人は貧困状態にあるニュースが出た時は多くの方々が驚いたかもしれません。OECD加盟国の中でも、日本は相対的貧困率が4番目に高い国になっています。世帯年収を背景として生まれている子どもの教育格差をはじめ、子どもの学力、教員の資質、ICT教育といった面において、教育分野は多くの課題を抱えています。教育に関する統計やニュースを見て、多くの方が「何かがおかしい」と感じているのではないでしょうか。

様々な教育問題がある中で、私が特に危惧をしている問題は、経済的要因によって教育の機会が限られてしまう子どもが多く存在することです。文部科学省の発表によれば、2010年の就学援助の対象となった児童・生徒は155万人と母数全体の15%を上回ります。生まれた家庭の生活環境によって、子どもたちの学習機会・学習意欲は大きく左右されてしまいます。学習環境が学力や進学に大きな影響を与え、大人になって進むキャリアが決まってしまうのです。

子どもたちの学力や学習意欲の差、もしくは大人になってからの就労意欲の差は最初からあるものではないと思っています。子どもに責任があるのではなく、すべてはその子どもたちを取り巻いている環境であったり、その環境を形成する大人との出会いによって大きく左右されるのです。自分の可能性を信じてくれて、徹底して向き合ってくれる大人の存在が今まさに子どもたちが必要としているものだと思います。

(2)母子手帳と課題解決の関係性と可能性

子どもたちの取り巻いている環境を「ひとり」で良くできるほど簡単なものではなく、複雑化してきております。この複雑化している子どもを取り巻く環境をより良いものにしていくためには「正しい知識」と「関係者との連携」が大切なキーワードです。

母子手帳を通じて、子育ての正しい情報を入手し、さらに関係者とコミュニケーションを頻繁に行うことで、子どもの学習環境・生活環境を改善することが期待できるかと思います。また、重要なことは「対処療法」として活用するのではなく、「予防」思考で活用することなんではないかと思います

 

(3)子育てのおすすめアイテム!



Teach For Japan では母子手帳ではありませんが、学習の子どもカルテを作成しております。学校内や学校外の子どもの学習状況や生活状況を記載し、関係者が連携して環境を改善することを目的にしております。このように関係者と連携を図ることで、子どもたちの学習環境を改善するとともに、子どもたちの混乱を防ぐこともできます。

子どもたちは、「家では○○と言われるけど、学校の先生は△△と言っていた」と大人たちが言っていることがバラバラであることに困惑したり、ストレスを感じたりもします。各ステークホルダーが各々の子どもと接する場面で、どういうコミュニケーションをとって、どういうカリキュラムの基、どのような授業を展開しているのかを理解し、一貫性のある指導(接し方)をすることは非常に重要なことなのです。

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