母子手帳リレートーク

すべての親御さんにリアルタイムで情報が届く母子手帳を

発達支援センターLeafジュニア  渡辺 龍彦

未就学児の発達の遅れや凸凹の大きいお子さんとご家族を支援するための療育施設「発達支援センターLeafジュニア」(http://leaf-school.jp/)で施設長をしています。

近年メディアにも多く取り上げられるようになり、徐々に認知度が高まってきた「発達障害」という言葉。支援の必要性が叫ばれる一方、実際の地域社会における支援サービスは質量ともにまだまだ未整備であると言わざるを得ません。1歳半検診や、3歳児検診で保健士さんに「ちょっと気になる」と言われたり、保育園や幼稚園で先生から指摘を受けた事がきっかけで気づく親御さんも多いようです。区の発達相談につながると、心理士さんの検査等である程度の発達の評価ができるので、そこで療育を受けた方がいいとアドバイスをもらったり、専門医に診察・診断してもらう(つまり支援が必要だという意見をもらった)ことができますが、いざ支援を受ける具体的な機会・場所が圧倒的に足りない。自治体が用意している療育センターもありますが、かなりの確率で定員オーバーしています。年度ごとにクラス編成をする施設の場合は半年や1年くらい入所待ちが必要…。そんな声を多くの地域から頂きます。Leafジュニアはそうした喫緊の需要に対して、地域ごとのニーズに対応しつつ、スピード感を持って拠点を展開しています。今年の8月1日には、首都圏に8拠点目の施設を開設しました。みなさんの街にもきっと開設しますので、もうしばらく、お待ちください。(笑)

(1)現場から見える子どもの現状と課題

 

療育というと、聞きなれない方も多いかもしれません。治療の「療」が入っているので障害や特性を治すものだとイメージされがちです。もちろん個々人の苦手な部分に対する機能訓練的な要素はありますが、実は最も重要な点はそこではありません。私が考える療育の重要な役割とは、お子さんの特性を見極めた上で「その特性と一緒に生きていく」ためのスキル・コツを見つけること。またそのコツを暗黙知(言語化されない知識)で終わらせるのではなく、文章や一定のスキルとして本人と周囲の大人が共有できるようにすること。この2点こそ、赤の他人である支援者が客観的に関わる意味だと考えています。

特性と一緒に生きていく。ということは、眼が悪い人がメガネをかけて普通に社会生活を送っていく事と似ています。眼の能力を鍛える事だけに時間とお金を使う人は少ないでしょう。まずはしっかりと現状の視力や生活習慣を評価し、その子にあったメガネを本人と家族と支援者一丸となって見つけていく支援が必要です。

しかし、言うは易し。現場はそんなに簡単にいきません。実際に我が子に障害があると診断された親御さんが、その事実を受け止め「特性と共に生きよう」と、初めの一歩を踏み出すには時間がかかります。受容できず悲観する親御さんに対して「障害は素敵な個性だと思いましょう」とか「かわいそうだと思うのはかわいそうだ」等と価値観を押し付けるようなことはありません。我々はそんなご家庭の伴走者としてそばに居ながら、親身なリアリストとして一緒に支援計画を描き、小さな成長を共に喜び、ライフステージごとに起こる新たな課題に一緒にぶつかっていくのです。

(2)母子手帳と課題解決の関係性と可能性

 

母子手帳の一部WEB化を期待します。親子に関わる基礎情報を集約しておく機能や、手書きならではの機能を手帳に残し、変化が多い情報のインプットや子どもの成長の記録はIDの配布によってネット上でマイページを持って、一部のコンテンツは他のユーザーと共有できるイメージです。

発達が気になるお子さんを持つご家族が、まず、どこに相談したらよいのか。住んでいる自治体にある支援施設の情報はどこにあるのか。近くで参加しやすいイベントはないか。他に同じような症状や特性を持った子を育てている人はいないか。地域に密着する事で初めて意味をなし、かつ数か月単位で変りうる情報こそ、すべての親御さんにリアルタイムで届けたい。自治体の施策で行う事業も、民間施設のイベント広報も必要な人に情報が届いて初めて意味があります。そうした情報の検索窓口として、母子手帳の持つ網羅的な配布ポリシーに大いに期待したいです。

(3)子育てのおすすめアイテム

冒険遊び場・プレーパークと、汚れてもいい服

冒険遊び場は、発祥の地は北欧ですが、日本では既に30年以上活動が続いています。戦後の都市開発が進むにつれて、道路は子どもたちの遊び場ではなくなり、都会の児童公園では「球技禁止、木登り禁止」等の禁止事項がとても多くなりました。大人が子どもの遊びを制約するのではなく、本人のやりたいことを「どうやったらできるか」を一緒に考え、子どもたちが「自分の責任で自由に遊ぶ」ことを実現したい。そんな想いを持った地域住民たちが全国で遊び場の運営活動をしています。

汚れてもいい服は、お子さんもそうですが、親御さんの分も用意してくださいね。我を忘れて親子で一緒に遊ぶ時間は、親子関係のあり方を見直す良いきっかけになります。ダメ!と必要以上に言わなくてもいい空間というのも、たまにはいいのではないでしょうか。

 

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