母子手帳リレートーク

子どもたちが自分の存在を認め、自立にむかえる社会へ

児童精神科医:小澤いぶきさん  

1.生まれ育った環境に関わらず、子供たちが自分自身の存在を認め、自立できる環境を整えること 2.その子の特性に沿い、ライフステージを見通して子どもに関わること 

を考えて活動をしています。

私が仕事で出会うこどもたちの背景も相談経路も様々で、他機関との密な連携が必要とされます。そのような中で、「子ども」に対してだけでなく、「子どもを取り巻く環境」に対してアプローチすることも少なくありません。病院でしっかりと見立てと方針を示すことはとても大切です。しかし、病院だけで解消できるものは多くはなく、病院に来る前とその後に必要な関りがあって、はじめて病院でのことが活かされることも多いと感じています。家庭を中心とした子どもに関わる場所が連携して、個々の子どもにとって必要な環境を整えられたらと思っています。

 

(1)現場から見えてくる子どもの現状と課題 

 

子どもたちは家庭という安心でき、自己の存在が脅かされない絶対的基盤の中で、愛着関係が築かれ、健やかな成長がはぐくまれていきます。子どもの発達に応じて関わり方はかわってきます。

自分の子どもであっても、一人の人間。感じ方も捉え方も様々で、自分とは異なる個であることを忘れずにいることは、互いの関係性の中でとても大切です。子どもの行動を自分の価値観に当てはめて「きっとこんな理由で行動しているんだろうな 」と対話せずに想像だけで片付けてしまうのではなく、どうしてそういった行動をしたのかをその親子なりの方法で対話することは、相互的な理解にもつながります。 自分がこうあってほしいという理想の子ども像があるがために、子どもに対して支配的な関わりになっていたり、干渉しすぎていたりすることがあります。親の立場からすると愛情があるからこその行動が、実際は一方的になっているかもしれません。その愛情は子どもにはもしかしたら適切な形で伝わっていないこともあります。大人の価値観で判断していくのではない関わりは、教育の中でも同様に大切であると思います。

子どもは自立していきます。子どもが自分自身の存在を認め、自己肯定感を育み、自立していくために、その時々の発達段階において何が必要なのかを自分の価値観の枠をはずして、共に考えていけたらと思っています。

 

(2)母子手帳と課題解決の可能性と関係性 

地域によっては、保健所、保育の場、教育と医療が上手に連携し、親子のサポートを行っているところもありますが、それはまだ日本全国に広まっているわけではありません。

家庭と他機関との相互の連携、機関ごとの横の連携と、こどもの年齢の枠を超えた縦の連携が実際には有機的に機能しきれていません。そのような課題を、母子手帳を介して解消していくことで、母子手帳はひとつのセーフティーネットとしての可能性を持ちえると考えています。

また、自立と書きましたが、様々な状況があり、生命維持のために医療的支援を受けていく必要があったり、生活のために福祉的なサポートの必要があったりします。長い期間必要となるかもしれない支援の情報が、必要な方にきちんと届くような役割があるとよいなとも思います。

 

(3)子育てのお勧めアイテム  


★行動を具体的に書き出す

これは子どもの、というよりは自分自身のためのもの。子どもの一日の行動を書き出してみてください。その中で、挨拶をする、歯磨きをするなど、続けてほしい行動を抜き出してみます。それが大人からしたら当たり前な行動でも、子どもにとっては生まれてからこれまでに身につけてきた大きな成長の証です。自分にとって当たり前の行動は相手にとって当たり前だとは限りません。

たとえば、歯を磨いたら「あ、歯を磨いたんだね。歯ブラシで磨いてるんだね」 と、そのまま言葉にだして伝えることで、あなたをちゃんと見ているよ、というサインにもなります。 子どもが少し我慢したり、普段どおりの行動をしたり、これは子どもが成長してきたからできるようになっていることです。そのことを当たり前だと思わず具体的に言葉で伝えるツールとして、子どもの普段の行動を書き出して、自分で再確認してみてください。

★見守り表

子どもの行動についつい口を出したくなってしまうことがあります。それは親だからこそです。とはいえ、子どもは体験の中で様々なことを学びます。危険なこと(命に関わることなど)は別ですが、見守れることは、まずは口をださずじっと観察してみると、新たな発見につながることもあります。見守った行動、そのとき子どもがとった行動を書き出してみると、自分自身が見守ることの意識にもつながります。

★ Iメッセージ

これは「 I(私)」 を主語に相手に伝えるということ。メモ帳などに、相手に伝えたいことをできるだけ「私」を主語にして書き出してみてください。 他の人や周りがどう思うか、ではなく自分がどう思うかを相手に伝えるといったコミュニケーションが、親御さん自身の新たな気づきにもつながるかもしれません。

 

 

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