母子手帳リレートーク

母子手帳で、両親に必要な育児情報の提供を

まちの保育園 保育士、オトナノセナカ共同創設者、こども未来プロデューサー:小笠原 舞さん

 私と子ども達との関わりは、高校時代の車いす体験ボランティアに始まり、 自閉症通園施設、養護学校学童保育、ネパール難民キャンプ幼稚園、海外支援団体、自然教室など様々な子ども達と関わってきました。そして、現在は2011年4月にオープンした、「まちの保育園 小竹向原」にて2歳児クラスの担任をしながら、2010年10月に立ち上げた任意団体 「オトナノセナカ」の共同創設者としても活動をしています。

「オトナノセナカ」は社会全体で子どもを育てる「共育」を軸に、まずは大人が自分の生き方を見つめ、その背中を子どもたちに見せていくという循環をつくるコミュニティです。さらに新しい挑戦として、社会をイノベーションする新しい保育士として、「こども未来プロデューサー」という仕事を創るために、保育園を越えて保育の専門知識を社会、子育て支援にもっと多く役立てられるように活動しています。

(1)現場から見える子どもの現状と課題


「先生、車何乗ってるの?僕んち、○○(高級車)だよ!すごいでしょ!」

「僕ね、塾に通ってるんだよ。えらいでしょ!」

「僕の方がすごいよ!上手だよ!あの子は下手」

そんな言葉をはじめて会った5歳児たちから聞き、とてもショックでした。子ども達の言葉の奥にある、この価値観はどうやって決まったんだろう?と考えるようになりました。

仕事で忙しいあまり、手間いらずで簡単なお弁当にする親。コミュニケーションをどう取ればいいかわからず、子どもにゲームを与え、自分は携帯をいじる親。そして、子どもの発言や行動を後回しにし、自分の行動を優先する親。その結果、コミュニケーション、愛情不足で不安定になる子どもたちが増えています。もちろんすべての親子がこういう訳ではありませんが、保育の現場・子どもたちに携わるものとして、大人の都合で進むこの世の中に矛盾を感じています。誰も疑問に思わないまま、子ども達の育児・教育環境がどうなってしまうのか心配でなりません。本来は、大人の都合ではなく、“子ども自身”が自分の力で生きていける、夢を叶えられる、健やかな成長ができる環境があるべきなのではないでしょうか?

今、情報は溢れていますが、子どもを産んだ後のコミュニケーションの取り方、大切さ、親に求められる基本的な力を知らない、身についていないことで、子どもが大人の都合に合わせて生活する環境を生み出しているのではないかと思っています。子ども自身が成長できる環境をつくっていくために、この時代に合った育児・教育環境を親たちでもう一度考えていかなければならいのではないでしょうか?

(2)母子手帳と課題解決の関係性と可能性


私は家庭の子育て力向上のために、“子どもを持つ全国の親に、フェアに育児情報の提供が必要である”と考えているので、その上で母子手帳は大変重要だと思っています。以前、日本の母子手帳について調べてみたのですが、太平洋戦争前に母子手帳の根拠法令となる母子保健法が施行され、母子手帳が発行されたおかげで出産〜保育の環境が著しく急速に整備されたことや、世界的にも注目をあびている母子保健管理の一つの方法だと知りました。この素晴らしい母子手帳の価値を社会全体で見つめ直し、現代の子育て環境や子どもたちの教育環境を再構築したいと思っています。

日本の家庭の子育て支援・子育て力の向上のために、保育士の専門知識を社会に届けたいと考えています。そこで、母子手帳をママ・パパたちの共通の教科書として位置づけ、保育の現場での声かけの仕方やコミュニケーションの取り方、目の前にいる子どもの持っている力を引き出す方法を知り、共に成長していく。そのきっかけになるものとして、母子手帳は、大きな可能性を秘めているツールだと思っています。

(3)子育てのおすすめアイテム!

 “子ども観察メモ”がおすすめです。(売っていないので自分でノートを購入し、作ってみてくださいね!)見た目はただのノートですが、書き方にコツがあるのです。育児日記とは違い、子どもの発見までの行動や子ども同士の会話を記録しておくのです。私たちの保育園ではドキュメンテーションと言うのですが、大人の気持ち(こうして欲しいやこんな気持ちだっただろう)は入れず、子どもが行なった事実だけを記載します。

例えば、ハサミを持つ→とんとん叩く→丸い部分が開くことに気づく→両手で開き、片手に持ち替え切る→片手で開けるようになるが逆手→順手で切れる→連続して切れる

そうすることで、子どもたちがどのように新しいものにアプローチしていくのか、大人の当たり前を押し付けるのではなく、子ども視点の体験や新しい気づきの発見を大人がすることができます。当たり前の大切さに気づき、そして夫婦や保育園と家庭をつなぐ大事なノートになるはずです!

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