母子手帳リレートーク

気軽にギアチェンジして働き方を変えられる世の中へ!

一家の稼ぎ頭として新聞社で活躍するマヤコさん
新聞社の出版局で雑誌・書籍の編集を経て、育児休暇を2年間取得。現在は、新聞を使った子ども向けの教材を作る仕事をしています。11歳の女の子がいます。夫はフリーランスの編集者兼主夫。
母子手帳をもらった年と場所:1998年 旧浦和市(現さいたま市)

編集者として仕事に没頭していた時期に妊娠。想定外の出来事に、「母親になる」ことを受け入れるまで時間がかかったと言います。さらに、育休からの復帰直前に、上司だった夫が専業主夫宣言。一家の稼ぎ頭として働くことを選択したマヤコさんに、母子手帳と新しい家族のカタチについてお話を伺いました。

母子手帳と新しい夫婦のカタチについての4つの質問

(1)育児休暇を2年間取得されたのはなぜですか?

妊娠がわかってからのできちゃった結婚で、結婚と順序が逆になったので、精神的に「母親になる」覚悟がなかなかできませんでした。仕事が乗っていた時期だけに、キャリア止まっちゃうの?とかいろいろな思いがあったんです。母子手帳をもらったときも実感がわかなくて、抵抗を感じました。「母親になる」というのは異次元ワールドで。母子手帳の表紙には幸せそうな母子のイラストが書いてあるんですが、「私、良い母親にならなきゃいけないの?」みたいなプレッシャーがあって、違和感をすごく覚えたんです。


気持ちの上で母親になれたのは、産んでからです。「あ、出産っていいものだったな」と思いました。ただ、出産と育児は別で、母と子だけでは母親になれないんですね。最近よく言われる「孤育て」が精神的に辛かったんです。親戚や地域とのつながりがきちんとできていないと、子育ては上手くいかないという実感がありました。それで、育休を1年間延長して「地域の母親」をやろうと、育児サークルを作りました。このまますぐ仕事に復帰してしまったら、会社と家庭を往復するだけの忙しいワーキングマザーになってしまうと思ったんですよ。


育児サークルでは、講演会をやったりイベントを企画したりと遊び中心でしたけれど、単なるママ友ではなく、女性同士で気軽に話ができる女子大の延長のような環境を作れればいいなぁと思っていました。母親って、どうしても仮面を被ってしまうものです。「○○ちゃんのママ」といった、子どもを媒介した会話しか成立しないから、すごくぎこちない。それを取っ払って何かやりたいなという想いがありました。

(2)育休からの復帰直前に、ご主人が会社を辞められたんですよね?

私の会社では早期退職制度というのがありまして、13歳年上の夫はその制度を利用して45歳で退職しました。「僕はしばらく育児に専念する。その方が効率もいい気がする。キミの方が若いし長く働けるし。僕は定年まで行くと、次の人生を切り開く元気がないから、早めに退職して次にやりたいことを見つける。家事、育児は全部ボクがやるから、キミには働いてほしい」と、「専業主夫」になったわけです。「え〜そんな~!」って感じですよね(笑)。

2週間くらい侃々諤々と話し合いましたが、夫の考えは曲がらなくて。私自身も専業主婦は辛いと思っていたので働き続けることに不安はなかったんですけど、それでも夫が専業主夫になることには戸惑いがありました。

ライフステージごとに夫婦が働き方をもっと調整しやすい世の中になるといいですね。例えば育休をバトンタッチするとか、状況に応じて共働きから片働きにする、また2人で復帰するとか、こういったギアチェンジが頻繁に細かく、せめて子どもが小学生の間まで、できるといいんじゃないかなって。女性の場合いったん正規社員を辞めてしまったら、なかなか正規には戻れないから、怖くて辞められないんです。男性だって育児のために会社を辞めて再就職するのは、年齢的にも大変ですよね。もっとワークシェアが進んで、ワークライフバランスを調整できるようになればいいなと思います。


娘には、「どうしてうちは普通の家とは違うの?」って言われましたね。「普通の家はママが迎えに来るのに、何でうちはいつもパパとかシッターさんが来るの?」って。「普通の家が良かった」とか。子どもって意外に保守的で、友達の家庭と比べたりして『普通』を保守的にとらえてしまうんですよね。もっと『普通』を多様にとらえてもいいんだよって言うんですけど、それがなかなかわからないらしくて。

(3)母子手帳の使い方を教えてください。

私が産まれたときの母子手帳を母からもらい、比較対象としていつも持っていましたね。今度は私が娘にこれを渡して、参考にしてねっていう番がくるかもしれませんね。

昔の母子手帳、今と常識が違ったりして面白いんですよ。例えば、『小さい頃から添い寝などはせず、一人寝の習慣を付けることは、子どもの心身の健康を守るために大切です』とか『満一才の頃には母乳はやめるようにしましょう』とか。今は卒乳の時期を厳しく言われないですからね。


それから母も私も領収書を母子手帳と一緒に保管していました。母のときは、出産費用が、入院費を入れてたったの4万円。今は40万円以上かかります。出産って保険が使えないので、どんどんお金が減っていくんですよね。そういったことも記録しておいて娘に伝えられるといいですよね。

(4)母子手帳のほかにどんなものがあったらいいと思いますか?

母子手帳の次のステップとして、より豊かな子育て生活のために、地域とのつながりや親戚や夫とどうやってチームプレーをしていくかが書かれたテキストがあるといいですね。

共働き版・専業主婦版とか、ライフスタイルによって別々のサブテキストを選べたらいいですよね。おじいちゃんやおばあちゃんが育てている家庭や、必ずしもお父さんが育児に協力的でない家庭とか、シングルマザーとか、多様な家族があると思うので、ひとつのものを押しつけない方がいいと思います。

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