母子手帳リレートーク

パパだけど学生。でも、父親として胸を張って子育てを楽しみたい!

19歳でパパとママになった、ソウイチロウさんとカオリさん。2歳の男の子がいます。現在、ソウイチロウさんは大学生で、来春就職予定。昨年、NPO法人ファザーリング・ジャパンの学生組織ファザーリング・ジャパン・スチューデンツ(FJS)を立ち上げ、若者向けのセミナーやイベントを開催しています。
母子手帳をもらった場所:2008年 多摩市

大学1年生のときにカオリさんが妊娠。授かった命を大切にしたいと出産を決意し、カオリさんは大学を退学、ソウイチロウさんは大学に残ることを選びました。カオリさんの家族との同居、学生生活と子育ての両立。一気に生活が変化していきました。その葛藤と覚悟とは?

学生とパパの両立、母子手帳についての5つの質問

(1)妊娠がわかったときのことを教えてください。

カオリさん(以下Kさん):産まないという選択肢もありましたが、産むことに迷いはありませんでした。若いし、難しい面もあると思ったけれど、産まないとこの先ずっと後悔するだろうなって…。授かった命ですし、大事にしたいと思いました。親の反対もありましたし、今思い出すと本当に大変でした。もうこれ以上の修羅場はない、と思うくらい。

ソウイチロウさん(以下Sさん):お互い大学に通い続けるという選択肢もあったけれど、それは甘えでしかない。だから、大学を辞めて二人で必死に働いて養っていこうと決めました。妊娠が発覚した日に、妻の両親に会いに行きました。「一生懸命働いて養うので産ませてください」って、ひたすら土下座をしましたね。


「若すぎるから」と反対もありましたけど、妻の両親も最終的に理解をしてくれました。しかも、僕に「長い目で見ると大学を卒業してから働いた方がいい、うちから大学に通ってもいいよ」と言ってくれたんです。こうした理解があったから、今の僕たちがいるんです。感謝してもしきれない。

(2)立ち会い出産だったそうですが、お子さんが産まれたときどんなふうに感じましたか?

Sさん:生まれた瞬間はものすごく感動しました。22年間生きてきて無意識に涙が出たのはあのときが初めてでした。陣痛のときから一緒にいて、妻に腕を砕けそうなくらい握られて(笑)。でも、それくらい痛い思いをしているんですよね。だからこそ生まれてきてくれてありがとう、産んでくれてありがとうって思いました。


この子は自分の子であって、父親は自分なんだって、生まれた瞬間に感じることができました。ただ、学生の自分が父親になることについては悩みましたね。学生なのに父親だから、周りの学生と同じような自由はない。でもその割り切りはできたんです。でも、父親なのに家族を自分のお金で養えないことが苦しかった。

(3)どんなことがきっかけで、父親であることを楽しめるようになったのでしょう?

Sさん:一番のきっかけは、ファザーリング・ジャパンとの出会いです。「父親であることを楽しもう、それが子供も奥さんもハッピーにすることなんだよ」ということを伝えている団体なんです。学生だろうが父親であることには変わりないんだから、胸を張って父親でいなきゃだめだなぁって思うようになりました。


学生パパである自分の経験を活かせることがあるんじゃないかと、去年の4月にFJSを立ち上げました。妻には「活動に時間を割きすぎて、全然ファザーリングじゃない!」と言われることもありますけど(笑)。

(4)母子手帳やパパママ学級について、思うことはありますか?

Kさん:母子手帳には妊娠初期の注意点や精神的に不安定になることなどが書かれていて、それを読むだけでも安心できました。一緒にもらったしおりには、児童館や保育園、幼稚園の場所や連絡先や手続き方法が掲載されていて、とても助かりました。今でも見直しますね。

Sさん:母子手帳には、働く女性のための制度や産後うつについても書いてありました。僕は母子手帳を一通り読みましたけど、読まないパパも多いそうですね。「母子手帳」の名称そのものが問題かな。「父」という文字がないから、きちんと読む人が少ない。パパとママで考えることも違うので、「母子手帳」と同時に「父子手帳」を発行するといいかもしれません。父親の視点から、子供との関係を考えるための手帳を作るのは大事だと思います。

一方的な情報だけではなく、実際に考える場も必要だと思います。例えば、先輩パパママとの交流を通して、どうやってママをサポートすればいいのか、先輩パパはどのようにして仕事と家庭を両立しているのか、リアルに感じられる場があるといいと思います。

(5)後輩パパ・ママへ一言お願いします

Kさん:私自身、子供は得意な方じゃなかったんです。育てられるか心配したこともあったんですけれど、産まれてしまうと可愛くて。もし、母親になることを迷っている人がいるのであれば、産んでほしいと思います。また、友達から「元気にしてる?」と連絡をもらえるだけでも支えになるので、友達が出産したら声をかけてあげてほしいですね。

Sさん: 学生パパとしては、本当に大変だよ、ですね。パパなのに学生、学生なのにパパであるという苦しさを覚悟した上で、責任を持ってほしいし、その決断、選択を自分自身で正解にしていってほしいと思います。

大変なのは自分よりも奥さんですね。妊娠して大学を辞めたわけですから、急に社会との接点がなくなってしまう。なのに、夫は学生だから自由を満喫しているように見える。だから「自分より大変な奥さんを、できる限りサポートしなければ」という気持ちを忘れずに、子育てを楽しめたらいいなと思います。一人では乗り切れなくても、二人なら乗り切れると思うんですよ。

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